性別の移行をはじめると出てくる困難・悩み

ジェンダークリニックなどで相談した結果、あるいは自分の意志で性別を変えると決め、性別移行を始めるとあらたな困難がでてきます。

性別移行は、文化的な性別移行と身体的な性別移行があります。文化的な性別移行では、服装やしぐさ、声、話し方などを希望する性別のものに変えていくことです。それに対して、身体的な性別移行は、ホルモン療法や性別適合手術などで体を希望する性に近づけることです。

性別移行は、服装から始める人(文化的な性別移行 )、ホルモン療法から始める人(身体的な性別移行)と人それぞれです。日本精神神経学会のガイドラインでは、まずは文化的移行をしてみて本当に自分は希望する性で生きるのがいいのかどうかを確かめてから、ホルモン療法などの身体的移行をはじめることになっています。

しかし、私は、あくまでも自分の本当に生きるべき性別がわかっている前提で、まずホルモン療法から初めてある程度、希望する性別らしくなってから、文化的な移行をはじめるのもいい方法だと考えています。

ホルモン療法による体の変化はゆっくりと進行し、だんだんと希望する性の身体に近づいてきます。おそらく、周囲の人は、その人が性別移行を開始したことに、しばらくの間は気が付かないと思います。そしてある程度、希望の性の身体に近づいてきたら、服装やしぐさなどを変えていくのです。

この方が、自然に性別移行できるとおもいます。女性ホルモンをしばらく使用すると、筋肉が落ちて脂肪がつき、女性らしい顔や体に近づきます。男性そのままの人が、「女装」をしているより、女性らしくなった状態で女性の服装をしていた方が、自然に見えるのではないでしょうか。

とはいっても、まずはRLE(実生活経験・リアルライフテスト)をして、文化的に性別を移行した生活を経験して、どちらの性別で生きるのがふさわしいかを考える、という先ほどのガイドラインの手順も非常にもっともです。

実際に新しい性別として(服装・しぐさなど)生活してみると、本当に自分はその性別なのかがはっきりしてきますし、乗り越えなくてはいけない課題も見つかります。もし、はじめからホルモン療法など身体的な性別移行をしてしまうと、もし本当は性同一性障害でなかったとわかった場合や、やっぱり元の性別のまま生きる方がいいと判断した場合、とりかえしがつかないこともあります。

このようなことから、専門家と相談して、身体的移行と文化的移行どちらから性別移行するべきかを考えた方がいいと思います

文化的移行

話がそれました。性別移行をはじめ、移行途中ではどのような困難があるのでしょうか。性別の移行をはじめたばかりのころは、まだまだ元の性別です。文化的移行を先にした場合、とくに初期では、周囲の人の眼には「男性が女装をしていると」移ることでしょう。すると、からかわれたり、嘲笑されたり、差別的な人から傷つけるような発言をされることがあります。

uwasa

まずは中性的な服装から始めるといいかもしれません。夏でしたら、女性用Tシャツに女性用パンツ(ボトムス)、冬でしたら女性用パーカーに女性用のパンツといった服装をしてみましょう。

服装や髪型(ウィッグのつけかた)、メークの方法が身に付き、脱毛も済ませると、自然に見えるようになってきます。しかし、まだまだ男性に見える場合がほとんどです。今度は、「きれいな女装」とか「男の娘」といったような眼で見られるようになるかもしれません。

この段階では、からかわれることは減ってきますが、一瞬女性だと思い込んだ人が、男性だとわかり、だまされたような気持ちとなり、舌打ちをしたり、悪口をいってきたりする人がいます。また、男性であるということがわかるので、おもしろ半分で身体をさわられる場合も考えられます。相手は、「同性だからいい」という軽い気持ちなのでしょうけど、自分は女性だと信じているMTFにとってはつらい経験です。

ある程度女性に見えるようになってくると、男性用のトイレに入った際じろじろ見られたり、からかわれたりすることもあります。そういう場合は、多目的トイレなどを使うといいでしょう。

tamokuteki-toire

身体的移行

ホルモン療法による身体的移行を先にした場合は、女性ホルモンによる体の変化はゆっくりなので、最初はだれにも気づかれません。このときに感じるのは、体力の衰えと、メンタルが弱くなることです。また、女性ホルモンの副作用で落ち込みやすくなったり、ちょっとのことで泣いてしまったりと、抑うつな状態になることもあります

女性ホルモンを初めて、数か月(半年くらい)~1年くらい経つと、筋肉が落ちたことで身体がほっそりとし、身体に女性的な脂肪がついたことで、女性的な体へと変わってきていると気が付くでしょう。

このころになると、初対面の人から女性であると思われることが多くなってきます(服装にもよります)。日ごろ接している周囲の人は、見慣れてしまっているため、気が付かないこともありますが、「あれ? 最近女性っぽくなった」と気づく人もいます。この段階で感じる困ったことは、男性用の更衣室や浴室などを利用することがある場合、乳房のふくらみが目立っていれば、からかわれることです。

身体的な移行を先にする場合も、文化的移行を先にする場合も、職場や周囲の環境などが許せば髪の毛を少しずつでも伸ばしていったほうがいいです。あとあとの性別移行がしやすくなります。もし、薄毛などに悩まされている場合は、ホルモン療法をすることで改善することもありますし、ホルモン療法をしていなければ、男性用の薄毛治療薬を使ってみてください。

 , , , ,