女子大の名門、お茶の水女子大がトランスジェンダーMTFの学生を受け入れると表明しました。これは私たちMTFにとって嬉しいニュースです。

学校での性同一性障害・性別違和の取り扱いについては、小中高は文部科学省が配慮するように通達していますが、大学はそれぞれの大学の判断に任されています。今回、女性しか入学資格がない女子大が、性自認が女性であれば戸籍上男性でも受け入れると表明したことで、全国の大学の性同一性障害への対応を促すきっかけとなるでしょう。

 

 戸籍上は男性でも自分は女性だと認識しているトランスジェンダーの学生を受け入れる方針を決めたお茶の水女子大(東京・文京)の室伏きみ子学長らは10日、記者会見で「多様な女性があらゆる分野に参画できる社会の実現につながることを期待する」と説明した。受験前にトランスジェンダーであるとの事前申告があれば、大学が確認して受験を認めるという。

(日経新聞2018/7/10 Webサイトより引用)

お茶の水女子大・南門 (Wikipediaから)

社会は徐々にではありますが、トランスジェンダーを受け入れる方向へ変わりつつあるといえるでしょう。今回のニュースのポイントは、戸籍上の性別の変更が条件になっていないことです。性自認が女性であると確認できれば、手術の有無は問われません。

性同一性障害(性別違和)の治療はそれぞれのペースで

性同一性障害・性別違和の治療というと、絶対にガイドライン通りに進めて、最後は性別適合手術まで進めなくてはならないと思いがちです。しかし、ある人は外生殖器の変更を希望するかもしれませんが、そうでない人もいていいと思うのです。性別適合手術は費用の問題や、体への負担からなかなかできず、ホルモン療法だけを継続していて、現在の”女性としての”生活に満足している人も多くいます。私は体の治療の段階よりも、性自認こそ大切だと思います。治療をあせって進めて、あとで違ったと後悔する人もいますから、慎重に行うべきです。

このように書くと、手術をして性別変更をしないと女性と認めないと主張する方々から、批判を受けるかもしれません。また、残念ながら日本の法律・社会はそういう風潮です。

しかし、私は性同一性障害やトランスジェンダーはそれぞれの人の事情にあわせて、その人のペースで治療するのが一番いいと考えます。

トランスジェンダーを受け入れる社会へ

性別やジェンダーは男・女の二つに二分化されると考えられていますが、実際は揺らぎがあります。男性でも女性らしい人がいますし、女性でも男性らしい人もいます。揺らぎがあるのですから、普通の男性がたまに女性になりたいと思ったとしてもおかしくありません。性同一性障害・性別違和はそれが長く続き、苦痛を伴う場合なのです。決して、逃げや甘えではありません。

問題なのは、現在の社会が性別を変えて生きる人(トランスジェンダー)を受け入れる準備ができていないことです。

ホルモン療法や手術になかなか踏み切れない人もいますし、それらをしても残念ながら完全な女性的な見た目になることは難しいです。性別適合手術を受けても、見た目から元男性であることがわかってしまう場合、生きづらさをかかえるでしょう。

朝起きて自分の体が受け入れがたい苦痛を味わい、外に出て異性として扱われる恐怖に怯え、それでも私たち当事者は、自分のできる精一杯を尽くして生きているのです。(それでも前向きに生きている人も多いです!)

すでにご存知かと思いますが、日本はマイノリティにやさしくない国なのです。学校教育でも、少し前までは「みんなと違うのは悪いこと」と教えられていました。。

しかし、時代はかわり、グローバル化によって、外国の人や文化、情報が押し寄せる中、日本は変容をせまられています。世界の風潮は、多様性を認める方向なのです。今回のニュースも、社会を変える一つの起因になるでしょう。

お茶の水女子大の室伏学長は「真摯にお茶大で学びたいという人を受け入れたい。多様性を包摂する社会の対応として当然のこと」(同記事)と記者会見で話したそうです。

性同一性障害・性別違和当事者のみなさん、どうか焦らずに社会の変化も待ちながら、自分のペースで治療を進めましょう!

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