久しぶりの更新になってしまいました(;・∀・) いろいろバタバタしたもので。。
今回は、抗男性ホルモン(アンチアンドロゲンについて)です。
※情報の正確性には十分に配慮していますが、私は生理学ないし内分泌学の専門家でないため、間違った情報があるかもしれません。ご利用は各自の判断でお願いします。
MTFが女性化するには、エストロゲン(女性ホルモンの一種)をつかいます。男性ホルモンを抑えることと、女性的な脂肪をつけることが目的です。その結果、だんだんと女性らしい身体に変わっていきます。
女性ホルモンが体内で増えると、脳(視床下部)が性ホルモンが十分にあると判断して、性ホルモンをつくらせるホルモン(黄体形成ホルモン、LH)を減らします。黄体形成ホルモン(LH)が減ると、精巣での男性ホルモンの生成が減ります。(男性と女性では、LH・FSHの働きが違います)
ところが、女性ホルモンを始めたばかりの人や、もともと男性ホルモンが多かった人では、エストロゲンだけだとなかなか女性化が進まないことがあります。エストロゲン単独での男性ホルモンを抑える効果はあまり高くないからです。だからといって、大量のエストロゲンを使うと、重篤な副作用の危険性があります。
プロゲステロンはアンドロゲンの生成を抑える
そこで、最近ではエストロゲンと合わせてもう一つの女性ホルモンである、プロゲステロンを合わせて使うことも増えてきました。プロゲステロンを合わせて使うことで、脳が性ホルモンが多いと判断しやすくなります。プロゲステロンには、黄体形成ホルモンを抑制し、男性ホルモンの生成を抑える作用があるのです。(なお、プロゲステロンはバストアップに効果的という説もあります。詳しくは、「バストアップにはエストロゲンだけと思っていませんか? バストアップの三大要素」をご覧ください)
プロゲステロンにも男性ホルモンを抑える働きがありますが、より強力に男性ホルモンを抑えるお薬もあります。
酢酸シプロテロン 商品名:アンドロクール、シテロン(ジェネリック)、PROCUR(ジェネリック)
もっとも強力な抗男性ホルモンです。合成黄体ホルモン(ゲスターゲン)の一種です。脳でのLHの放出を抑制して、男性ホルモンの生成を抑える作用だけでなく、男性ホルモンが受容体に結合するのをブロックします。生成を抑えることに加え、アンドロゲンの作用も弱めてくれるので、効果は高いです。(値段も高いのはご愛敬ですww)
しかし、副作用が強いのも特徴です。長期の連用で、肝細胞がんなどが発現した例が報告されています。もともとは、前立腺がんや前立腺肥大のために開発されたお薬なので、MTFの女性化目的で長期間使うのは危険かもしれません。肝臓に負担がかかるみたいです。
海外の論文によると、1日50mg~100mgを2回に分けて使うみたいです。100mgはかなり多いので、気を付けてください。
男性ホルモンをつくる能力は、女性ホルモンを続けると下がります。ある程度、男性ホルモンが下がった(と感じた)ら、量を減らしたりやめたりしたほうが無難です。
国内では副作用の危険性から、承認が取り消されました。国内で処方されることはないので、個人輸入でしか入手できません。
2020年追記:
アンドロクールのジェネリックで定番だったシテロンが販売再開しました
スピロノラクトン 商品名:アルダクトンA、ハイレス
アルドステロンというホルモンを抑える薬として開発されましたが、男性ホルモンを抑える働きがあることがわかっています。スピロノラクトンは、アルドステロンを抑え、余分な塩分と水分を尿に排出する働きがあります。主に、浮腫(むくみ)や高血圧などに使われるお薬です。
スピロノラクトンは、アンドロゲン(男性ホルモン)受容体に結合しやすく、アンドロゲンが受容体に結合するのを競合的に阻害します。その結果、男性ホルモンの働きが抑えられます。
添付文書に書いてある代表的な副作用は、高カリウム血症ですが、声が低くなるという副作用がインターネット上でよく報告されています。因果関係は私が調べた限りではわかりませんが、心配な方は様子を見ながら使ってくださいね。もしかすると、女性ホルモンまで抑えてしまったりするかも(以前何かの資料に書いてありました・・・・)
以前、私は一日に200mg(100mgの錠剤を朝晩1)で飲んでいたことがありました(かなり多いのでマネしないでください)。短期間だったからかもしれませんが、声が低くなったことはありません。ただ、副作用の影響か、運動後の息切れがすごかったような気がします。
海外の論文では一日100mg~200mgとなっています。血圧関係の薬と飲み合わせが悪いので、血圧の薬を飲んでいる方は注意してください。
まとめ
女性化を促進するために、女性ホルモンだけでなく抗アンドロゲンも合わせて使うと効果的です。また、抗アンドロゲンを使うことで女性ホルモンの量を減らすことができ、副作用を軽減できるかもしれません。
抗アンドロゲンの作用の仕方は、「①男性ホルモンの生成を抑える」、「②男性ホルモンが作用することを抑える」があります。今回紹介した、プロゲステロン・酢酸シプロテロン・スピロノラクトンの働きをまとめると次の表になります。
プロゲステロン (メドロキシプロゲステロンなど) |
①男性ホルモンの生成を抑える |
酢酸シプロテロン (アンドロクールなど) |
①男性ホルモンの生成を抑える
②男性ホルモンの作用を抑える |
スピロノラクトン | ②男性ホルモンの作用を抑える |
いずれの抗アンドロゲンにも副作用がありますので、長期にわたって使うのはやめたほうがいいです。男性ホルモンが下がったらやめたり減らしたりしてください。
用量については、http://joseika.jp/99も参考になるかもです。
自己管理でのお薬の服用は、自己責任です。信頼できる医師に相談のうえご使用ください。
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