クリマラは、世界的な製薬メーカーであるバイエル社が販売する、経皮吸収エストラジオール・パッチ(貼り付け剤)です。このページでは、クリマラ100が性同一性障害のホルモン療法に使えるかどうか、また使うとしたらどうやって使うかを紹介しています。
※このページは、性同一性障害MTFのホルモン療法を想定している情報です。生まれながらの女性の更年期障害のホルモン補充療法(HRT)の用法・用量とは異なりますので、ご注意ください。
写真は、クリマラフォルテです。オオサカ堂などでは、クリマラ100という名前で紹介されています。
香港にある、医薬品サプライヤー(供給元)が取り扱っています。このルートで個人輸入される製品(写真のもの)は、トルコ国内向けの製品ですが、添付文書によるとアメリカの3Mドラッグデリバリーシステム社で製造されているようです。アメリカ製だったんですね。
クリマラフォルテ(クリマラ100)とクリマラ50の違いは、パッチの大きさと含まれているエストラジオールの量です。
クリマラ50 | クリマラ100 | |
サイズ | 12.5cm2 | 25cm2 |
エストラジオール含有量 | 3.8mg | 7.6mg |
1日あたりのエストラジオール放出量 (1パッチ/1週間の場合) |
0.05mg (50μg) |
0.1mg (100μg) |
性同一性障害(MTF)のホルモン療法で使用する量
海外の性同一性障害の治療に関する文献では、性同一性障害MTFのホルモン療法でパッチ剤を使用する場合、「エストラジオールのパッチ剤を、毎週0.1mg~0.4mgを2回使用する」という例が紹介されています。
Transdermal: estradiol patch 0.1~0.4 mg twice weekly
参考文献1. p.p.3144 より引用
この0.1mg~0.4mgが何を表しているのか、わかりませんでしたが、アメリカ国内で販売されているクリマラを調べてみて、パッチ剤が1日に放出するエストラジオールの量のことだとわかりました。
また、アメリカ国内でクリマラは「Climara 0.05mg/day」「Climara 0.1mg/day」というパッケージで発売されています。
パッチサイズ | エストラジオール量 | 1日当たりの量 | トルコ版での商品名 |
6.5cm2 | 2mg | 0.0025mg/day | |
9.375cm2 | 2.85mg | 0.0375mg/day | |
12.5cm2 | 3.8mg | 0.05mg/day | クリマラ50 |
15cm2 | 4.55mg | 0.06mg/day | |
18cm2 | 5.7mg | 0.075mg/day | |
25cm2 | 7.6mg | 0.1mg/day | クリマラフォルテ (クリマラ100) |
したがって、この論文で紹介されている使用例0.1mg~0.4mgはクリマラの各パッケージ名と対応しているといえるでしょう。
MTFの女性化にクリマラ100を使うには
性同一性障害(MtF)のホルモン療法に、クリマラフォルテ(クリマラ100)を使う場合、1週間にパッチ1枚~4枚を途中で1回張り替えて使います。
およそ3.5日に1回1~4パッチを貼り付けると考えるとわかりやすいかもしれません。
読者の方から、1週間に1パッチではないかというご指摘をいただきました。あらためて確認しましたら、クリマラは1パッチにつき1週間使用できることがわかりました。上記の参考文献の「0.1mgパッチを1週間に2回」という表現は、クリマラではない他製品のエストラジオール・パッチ剤(?Vivelle-DotやEsclim?)などを使用した場合の例のようです。
Vivelle-DotやEsclimは、3~4日に1回張り替えが必要な製品ですが、クリマラは1週間に1枚張り替える製品です。
クリマラの場合は、「1週間あたり0.1mg~0.4mg分のパッチを使用する」という解釈で正しいと思います。
例えば、0.2mg/週の人は、1週間にクリマラ100(0.1mg/day)なら2枚、クリマラ50(0.05mg/day)なら4枚ずつ貼るってことだと思います。
※1~4パッチと幅があるのは、必要なホルモンの量が人によって異なるからです。人によっては1パッチでも十分かもしれませんし、人によっては4パッチ必要になるでしょう。
1週間くらい貼り続けられそうですが、クリマラの添付文書でも海外論文でも、1週間の間に1回は張り替える必要があると書いてあります。 クリマラは、張り替えは不要でした。。。
いろいろ調べていて分かったのですが、海外ではクリマラはメジャーなようで、アメリカのMtFはクリマラを使う人も結構いるみたいです。
クリマラの効果・副作用・使い方
トルコ語で書かれているので、おそらく誰も読めないと思います。そこで、Climaraで検索すると、アメリカ国内ではFDAに承認されている、薬のようで、英語で書かれた添付文書が見つかりました。
辞書を片手に翻訳してみました。表記の統一とかできていませんが、参考にしてください。
使い方(上記PDFから抜粋)
climara-japanese-5
コストパフォーマンスは??
1日あたりに吸収されるエストラジオール | 1週間で使用する量 | 1か月 | 1か月に必要な箱の数 | |
1パッチ | 0.1mg | 1枚(7日に1枚) | 4 | 1箱 |
2パッチ | 0.2mg | 2枚(7日に1枚) | 8 | 2箱 |
3パッチ | 0.3mg | 3枚(7日に1枚) | 12 | 3箱 |
4パッチ | 0.4mg | 4枚(7日に1枚) | 16 | 4箱 |
MTFの女性化で使用する場合、1か月あたり8パッチ~32パッチ4~16パッチ(人によってことなる)を使用することになります。トルコ国内向けクリマラ100は、1箱に4パッチ入っているので、2箱~8箱1~4箱必要ってことです。
はっきり言って、コストパフォーマンスはあまりよくないです。MTFの女性化で使用する場合、安い個人輸入代行業者に依頼しても、1か月あたり6,000円~12,000円くらいかかります。
3~4日に1回張り替えが必要と、間違えて解釈していました。1週間に1回の張り替えだったので、もう少し安いですね。3000円~6000円です。
コストパフォーマンスは、悪くありません!!
参考価格
(2016/8/28現在)
オオサカ堂
1箱 | 3,112円 |
3箱 | 6,809円 |
6箱 | 11,585円 |
くすりエクスプレス
1箱 | 4,980円 |
2箱 | 7,480円 |
3箱 | 9,978円 |
クリマラのメリットは
経口の女性ホルモン剤に比べて、肝臓への負荷が小さい点です。また、血栓症のリスクもプレマリンをはじめとする結合型エストロゲンよりも少ないといわれています。
参考文献
- Wylie C. Hembree, Peggy Cohen-Kettenis, 他. Endocrine Treatment of Transsexual Persons: An Endocrine Society Clinical Practice Guideline Wylie C.J Clin Endocrinol Metab, September 2009, 94(9):3132~3154
エストロゲン, 副作用, 女性ホルモン