相談者: 夕顔 様
性別: MTF(何もしていない)
相談タイトル:学生がMTFとして生きられるか

私は今高校三年生で、自分の心の中ではMTFだと思っています。

4月からある大学に行く為に一人暮らしをする予定なのですが、それからの暮らし方について考えているので意見をお聞きしたいです。

私は自分の体の男性的な所(体毛等)や男性的な性欲が否定したくなるほど嫌で、「男」を意識してしまわないように詰襟を着せさせられていても少しは女性に近づこうと髪を伸ばしています。仕草などは元から女性らしいと言われていたので傍から見れば一瞬性別が分からなくなるほどにはなっていると思います。

本来なら子供が出来なくなるだとかのリスクも承知で性別適合手術を受けたいです。
が、周りの目はともかく家族に話をしたくありません。詳細は省きますが、家族に人間的な信頼をあまり置いておらず、もし話をすれば家族や親戚から奇異の目に晒されてしまうと思っています。それに、今まで男と思っていたであろう人たちから扱いを変えられるのが怖く、今は保留にしています。
なので今までの関係の人たちの前では男を振舞って、女性でいるのは信頼する友達の前や、これから引っ越した先だけにしようとは決めています。

そこで漸く本題なのですが、大学でいきなり自分はMTFだとカムアウトして受け入れてもらえるのでしょうか。私の場合、性自認は女ですが恋愛対象も女なのです(トランスジェンダーのレズビアンというのでしょうか)。私は~~ですと言うのは性格上簡単なのですがそれから周りの人に受け入れてもらえるか不安です。
既に登録した大学側の管理する戸籍もできれば変えたいですがそれは男で構いません、他人からレズビアンの女性として扱われるには今の私には何が出来るでしょうか?

今やろうとしている事としては、両性が着ているような和服を着る、前述のように髪を伸ばす、女声を出せるようにする…位のことしか周囲が怖くて出来ていないのですが、他にこういうことも出来るんじゃないかということがあれば教えていただきたいです。

長文乱文失礼いたしました。よろしくお願いします。

 

海外の大学生たち

夕顔さん、こんばんは。いつもサイトをご覧いただきありがとうございます。4月から大学に行かれるということで、まずは合格おめでとうございます! 新しい環境や新生活に関する期待と不安でいっぱいですよね。そのうえ、これから女性としての生活を始めるわけですから、わからないことも沢山あるかもしれませんね。大丈夫です! 一つ一つ、乗り超えていきましょう。

さて、夕顔さんはご自身の身体の男性的な所が受け入れられず、男性的な性欲も嫌なのですね。つらいですよね。そのため、髪を伸ばすなど、少しでも女性に近づこうと頑張っています。そして、大学に入ってからは女性としての生活も始めるつもりとのこと。将来的にはリスクを承知の上で、性別適合手術も考えられているようです。

一方で、とくに家族をはじめ、周囲の人に受け入れられないのではないかと不安に思っていらっしゃいます。また、今まで男と思っていた人たちから扱いが変えられることも怖いのですね。そこで、「女性でいるのは信頼する友達の前や、これから引っ越した先だけに」すると決められています。

大学でのカムアウトのことやレズビアンの女性として周囲に扱われるために出来ることについてのご質問と私は理解いたしました。それでよろしいでしょうか。

まず、大学でカムアウトして周囲に受け入れてもれえるかということですが、いつ誰にカムアウトするかによります。ある人は、理解して協力してくれるかもしれません。しかし、中には理解してくれない人もいるでしょう。いくら差別はいけないとわかっていても、好き嫌いの問題残ります。

私の経験上のお話になりますが、カムアウトで一番やってはいけないのは、漠然と大勢の前で「自分は~~である」といきなりいうことです。そのあとに、うまく説明できなかったら最悪です。人々は、想像の中でテキトーなことを考えて、あれこれと噂するかもしれません。

カムアウトするときは、慎重にその時を選ぶことをおすすめします。そのうえでただ「私は~~である」というだけではなく、「これからどうしていくつもりか」(自分の決心)や、「周囲の人にどうしてほしいか」(希望)も伝えたほうがいいです。「自分は性同一性障害である」といわれても、多くの人はどう接していいのかわからず、とまどってしまいます。その時に、性同一性障害(性別違和)とはどういうビョウキかも合わせて伝えられると偏見を避けられます。

女性として周りから受け入れてもらうには、こころ(性自認)が女性だということが、周囲に伝わるように行動することだと思います。こころは女性と言いながら、男性そのものの言葉遣いやしぐさ、態度をしていたら、ほとんどの人が認めてくれないでしょう。これは、見た目のことだけではありません。いくら見た目が美人で女性に見えても、生活態度が男性のままだと、ちょっとでも元男性かも知れないと疑われた時点でアウトです。やっぱり、男だといわれて、結局受け入れてもらえないです。元男性であるということが全くわからないほど女性に近づけるMTFさんはめずらしいです。多くのMTFが一見すると女性に見えるけど、しばらく一緒に過ごすとわかるレベルです。その時に、女性として受け入れられるかどうかは、こころが女性と周囲に伝わっているかで決まるのではないかと思います。

このことは、夕顔さんもわかっていらっしゃるようです。そして、女性として扱わるために、中性的な服装をしたり、髪を伸ばしたり、女声を出せるようにしようと考えられています。そのうえで、あえて私がアドバイスさせていただくとすれば、最初はこれらのことを少しずつ初めて、ある程度女性らしく見えるようになったら、カミングアウトする範囲を広げて、いよいよ本格的に性別移行をするといいかもしれません。

周囲が怖くてあまり沢山のことはできていないとお書きですが、もし本当に女性として生活したいのであれば、いずれ乗り越えなくてはいけません。今すぐは夕顔さんも不安でしょうし、急に多くのことを始めるのがいいとは私も思いません。少しずつ、小さなことから初めて行って、だんだんと女性に近づいていくのがいいと思います。

他にできることとしては、

  • (中性的な服を着る)
  • (髪を伸ばす)
  • (女声を練習する)
  •  しぐさや行動を女性的にする
  • 持ち物を女性的なものにす
  • 女性と友達のように接する
  • 本当に性同一性障害であるかどうか専門医で相談する
  • [女性として生きていくと決断したら]カムアウトする(ご両親や大学の学生課・ゼミの先生など)
  •  [女性として生きていくと決断したら] ホルモン療法について専門医で相談する
  •  [女性として生きていくと決断したら] 通称名(女性名)を考えて、使い始める
  •  [女性として生きていくと決断したら] 大学に通称名の使用の許可を求める(名簿上の名前など)

などでしょうか。私はこのような順番ですすめました。

カムアウトするにしても、女性ホルモンを始めるにしても、女性として生きていくという決断が前提になります。思春期から青年期にかけて、性自認を含めて「自分とは何であるのか」というアイデンティティ(同一性)が揺らぐことはよくあります。その混乱の中で、女性として生きていくことをなんとなく決めてしまうと、後悔する結果になるかもしれません。

夕顔さんのケースを文面から拝見した限りでは、ご自身がお考えの通りトランスジェンダーであるとの印象を受けました。また、夕顔さんご自身もある程度決意を固めつつあるようです。そのうえで、念のために注意を促させていただきました。

女性として生きていくと決意したら、それをサポートしてもらうために、ご両親や大学側、専門医に相談されることをおすすめします。もしくは、女性として生きていくのが夕顔さんにとって本当にベストなのか、もう一度考えなおすためのアドバイスをもらうのもいいでしょう。いずれにせよ最終的には、ご自分で決めることが大切です。

ところで、レズビアンであることは今の段階では周囲の人には言わないほうがいいと思います。生まれながらの女性であるレズビアンでも「自分はレズビアンである」って表向きにしている人はあまりいません。レズビアンと知られることで、ほかの女性との関係が複雑になりうるからでしょう。もし、MTFトランスジェンダーがレズビアンだというと、多くの人は偏見から女性の身体目当てで女装しているのではないかと疑うかもしれません。性自認(自分は~性に属しているという認識)と性的指向(恋愛対象となる性)が別のものであることを理解している人は、ほとんどいないのです。まずは、女性らしくなることに力を入れたほうがいいです。そして、女性になれたら、恋愛相手を探しましょうね。

これから始める生活や性別移行の不安が色々あって大変ですよね。でも大丈夫です。私も、大学で性別移行を始めました。私の通っている大学で、はじめてのケースだったのでスムースにいかないこともありました。それでも、同じことで悩んでいる後輩のためにも、私は大学側と相談・交渉させていただき、当事者がいろいろな配慮をしていただけるようになりました。性別移行をするうえでは、自分で自分の道を開拓しなくてはならない場面もまだまだあるでしょう。その道のりは、決して楽なものではありません。しかし、もし男性として生活し続ける方が苦痛ならば、そして女性として生きたいという決意が固ければ、最後には乗り越えられると思います。

少々押しつけがましい回答になってしまいごめんなさい。少しでも、参考になったらうれしいです。また何かわからないことがあったら、お気軽に聞いてくださいね。

陰ながら応援しています!

さくら

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