ニューハーフは性同一性障害なの?

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そもそも性同一性障害って?

性同一性障害とは、一言でいうと「心の性別」と「身体の性別」が一致しない状態のことです。身体の性別は、持って生まれてきた染色体や生殖器で判別されます。心の性別とは、性自認のことで、自分がどちらの性であるかとの認識です。

身体が男性であるのに、「自分は女性である」とか「女性として生活したい」と思っていれば、性自認は女性ということになります。

しかし、これだけでは性同一性障害として診断するには不十分です。「自分は女性であるという思いがほかの精神障害によるものでないこと」や、「反対の性への同一性が持続していること」、「職業上の理由でないこと」などいくつかの診断基準を満たして、はじめて性同一性障害と診断されます。

くわしくは、以前の記事に書いてあります
⇒?性同一性障害とは?~病院・診断・治療~

ニューハーフ≠性同一性障害!

一方、ニューハーフとは元男性でありながら、女性化した身体をつかって、主に接客業についている人のことを指す言葉です。

ニューハーフという言葉には、水商売や風俗といったイメージが結びついていましたが、最近では性同一性障害でありながら、自分の性別を説明するのに「ニューハーフ」という人もいて、「MtFトランスジェンダー全般」を指す意味で使われることが多いです。

ニューハーフの中には、性同一性障害でありながら、身体の治療のためのお金を稼ぐために、働いている人がいますが、全員が性同一性障害というわけではありません。また、ニューハーフ以外の、一般的な職業についている、性同一性障害の当事者もいて、性同一性障害だから必ずニューハーフになるわけでもありません。

10年以上もニューハーフをしていながら、診断書はおろか一度もジェンダークリニックに通院したことのない人もいます!!

男性の身体をもって生まれながら、女性として生活している人すべてが性同一性障害とは限りません。趣味で女装をしている人もいますし、ニューハーフの中には「男性として」、女性の恰好で接客している人もいるのです。

性同一性障害(MtF)もニューハーフも、生まれた性と別の性で生活(性別移行)しているので、トランスジェンダー(トランスセクシャル)という枠組みに含まれます。

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女装とトランスジェンダー

最後に、女装との区別ですが、女装は男性でありながら趣味で行うといった要素が大きいです。女性の姿をしている自分に、性的興奮を覚えることもあります。トランスジェンダーが女性の恰好をするのは、「女性として」女性の恰好をしているととらえるのが一般的で、「女装をしている」との表現は普通しません。

 

性自認と性的指向(恋愛対象)は別!

心が女性である性同一性障害(MtF)やニューハーフが必ずしも、男性が好きとは限りません。なかにはトランスジェンダー(MtF、女性)でありながら女性が好き、つまり同性愛の場合もあります。

「自分の性別が何であるかの認識」(性自認)と、「どの性別の人を好きになるか」(性的指向)は、全く別物です。

体の性が男性だからといって、性自認が男性であるとは限りません。ここにズレがあって、性自認通りの性別で生活している人のことを、トランスジェンダーといいましたね。

 

 

下の図をご覧ください。

【身体の性】×【性自認】であらわされる“性別”は、3×3=9(通り)です。その9の“性別”それぞれに、4通りの【性的指向】がありますから、9×4=36(通り)の“性別”があることになります!!

さらに、【身体の性】をとっても、それぞれのカテゴリーの中間の人もいるでしょうし、性自認もその人によっていろいろなので、“性別”はほとんど無限なのです。

 
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性別は、一般的に「男性」「女性」の二つに分けれれているので、驚きですよね?!!

このような性別に関する考え方がひろまれば、多くのセクシャル・マイノリティ(LGBT)にとって生きやすい社会になるでしょう。

 

女性として生きるのに医師の許可はいらない!

女性として生活するのに、医師の許可は必要ありません。これまで見てきたように、性同一性障害だけが、トランスジェンダーではないからです。

服装だけ女性の恰好をすることも、女性らしいしぐさをすることも、身体を女性化させることも、すべてあなたの自由です! 他人の許可はいりません。

が!! すべての責任を負うのもあなたです。

セクシャルマイノリティに対する理解がひろまったとはいえ、男性が女性らしくすることには、まだまだ厳しい世の中です。そのことで、誹謗されたり、家族が恥ずかしいと思ったりすることもあるかもしれません。その場合、関係者間を調整するのは、あなたです。

また、身体を女性らしくするために、ホルモンをつかったり、美容整形をしたりすることには、リスクが伴います。女性ホルモンのリスクについては、こちらの記事で解説しています。

⇒?女性ホルモンと女性化①~副作用と注意点~

さらに、身体だけ女性になっても、社会が女性として認めてくれない場合もあります。なぜなら、そのままでは「女性らしく整形した男性」でしかないからです。心が女性であるかどうかや、女性として生きる意志があるかどうかを誰も保証できません。もし、あなたの心が女性で、そのことを社会に認めてもらいたいと思ったら、医師の診断書を得る必要があります。

このような点から、できたら信頼できるジェンダークリニックを受診した方がいいです。思い込みで女性ホルモンなど身体的治療をはじめて、後で「やっぱりやらなければよかった…」と悔やんでも取り返しがつきませんよ。

 

 

 

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