性同一性障害とは、自分が異性の一員であるとの確信や、自分の性が間違っているといった違和感によって、自分の性と反対の性の一員として受け入れられ、暮らしたいと思う病気※のことです。

多くは自分の身体に対する不快感を伴い、反対の性(本人にとっては本来の性)になるために、外科的な手術やホルモン治療を希望することが多いです。性同一性障害に比較的早く気が付く場合と、成人してから気づく場合があります。

性同一性障害の悩みをもつ人は、反対の性らしいふるまいや服装をすることも多く、そのために周囲となじめなかったり、社会的に不利な立場に追い込まれたりします。

このページでは、各ライフサイクル(成長段階)で、性同一性障害の症状がどう表れるのかや、どういった問題が生じるか、紹介します。

 

子どもの性同一性障害

まず、子どもの場合、男の子の場合には、自分が女の子であると主張したり、女の子の服がほしいと言ったり、女の子のおもちゃを欲しがるなどします。女の子の場合には、自分が男の子であると言ったり、男の子のおもちゃを欲しがるなどします。また、「男の子/女の子らしいふるまい」を拒否することもあります。

このようなことは、性同一性障害でなくても、成長の途上で一時的に生じることが多いので、異性の服やおもちゃを要求したからと言って、すぐに性同一性障害と決めつける必要はありません。実際、幼い子どもたちは、性にあまりとらわれず遊びますし、一時的に自分の性を拒否することもあります。また、成長するにしたがって、それらの行動が解消することもあります。しかし子どもが、自分の性別を拒否するなど性別に関することにとらわれ、いつも心を奪われているような場合、「小児期の性同一性障害」が疑われます。信頼できる、ジェンダーに詳しい医師に相談した方がいいでしょう。

悩む子ども

小学生になり、中学年ぐらいになると、男児も女児も自分の性を意識するようになり始めます。この年齢になると、性同一性障害を抱える子はいじめの危機にひんします。反対の性らしいふるまいや行動をしていると、周囲のからかいの対象になるかもしれません。そうならないためにも、学校や信頼できる先生と協力することが大切です。

少年期・青年期の性同一性障害

思春期になり、二次性徴がはじまると、自分の身体に対する違和感が強まります。そのことによって、性別違和に気が付くこともあります。だんだんと変化していく自分の身体に戸惑うことは、この時期よくあることですが、性同一性障害の場合は、変化への戸惑いというよりも自分が信じている性から離れていくという不安や焦りを伴います。

心理的なバランスを崩し、うつ病などになったり、不登校になったりすることもあります。また、どうにもならないという思いから、自殺を企図したり、実行することもあり、注意が必要です。

年齢相応の同性の仲間との関係を築けなかったり、同性の仲間との付き合い方が確立していないことが多く、そのために人間関係がうまくいかないことがあります。

成人の性同一性障害

278790成人になる前に、自分の性に違和感を持った場合は、継続して悩み続けていることが多いです。学校を中退するなどして、就労ができていないことや、心理的な問題で引きこもっているなど社会生活に問題を抱えていることが少なくありません。

成人になってから、性別違和に気がつくこともあります。その場合、しだいに自分が反対の性別として生きたい、反対の性別に身体を近づけたいとの願望へのとらわれが強くなり、通常の活動に支障をきたします。また、対人関係の問題を抱えることも多いです。

 

性同一性障害は専門医に相談!

142616性同一性障害かと思ったら、信頼できる医療機関を受診することをお勧めします。性同一性障害について詳しくない医師も多く、知識がない場合には正確な診断ができません。したがって、性同一性障害が疑われる場合には、性同一性障害に詳しい医師にみてもらったほうがいいです。

なお、当サイトでは、性同一性障害MtF(男性から女性)に向けてガイドラインに従わない、自己判断での治療についても紹介していますが、一時的な気の迷いで進めることはおすすめしません。

特に、女性ホルモンを使ってしまうと、重篤な副作用が懸念されるほか、完全な女性になることが難しいだけでなく、もとの身体に戻ることもできず、よけいに精神のバランスを崩します。まずは、信頼できるお医者さんに相談してください。

 

 

性同一性障害に詳しい病院クリニックについては、以下のページを参考にしてください。

https://joseika.jp/seidouitsu/post-72

 

性同一性障害がよくわかる本です。


※性同一性障害は病気ではない、との見方もあります。当事者にとって、性別がずれているのが問題なのではなくて、間違った性別に生まれてきたのが問題なのです。