性同一性障害を抱える当事者が社会生活をおくるなかで、一定の困難が出てきます。このページでは、性同一性障害当事者が働いたり学校生活を送ったりするために、カミングアウトのしかたや偏見とたたかう方法、そして協力者を増やす方法を解説します。

性同一性障害の当事者に対する風当たり

性同一性障害を始めとする、セクシャルマイノリティに対する偏見はだいぶなくなってきています。背景には、テレビなどのメディアでの「オネエタレント」の活躍や、一時期性転換手術などで話題になった性同一性障害の報道などがあるでしょう。性同一性障害の人がいるということが、理解されるようになったことで、以前は「変態」や「趣味」として考えられていた、女装(性同一性障害の場合は正式には女装とはいいません)も、しかたのないことと受け取られるようになっているようです。

また、性同一性障害の人を街なかでみて、「オカマ」などといってあからさまに指をさす人も、少なくなりました。長年ニューハーフとして働いている方の話では、昔はそういった人が歩いているだけで石が飛んできたり、殴りかかられたりすることもあったそうです。今は、中には意地の悪い人もいて悪口くらいは覚悟しておかなければなりませんが、さすがに危害を加えられることはありません。

そんな社会の流れもあって、手術を受ければ性別の変更ができるという、性同一性障害関連の法律ができたり、性同一性障害を理由とした氏名の変更も診断書があれば比較的容易にできるようになりました。また、セクシャルマイノリティを積極的に採用している企業や、労働環境や提供するサービスで、セクシャルマイノリティに配慮している企業も増えています。

さらに、カミングアウト(周囲の人に自分の性同一性障害を明らかにすること)もしやすくなりました。以前であれば、カミングアウトしたのを境に縁が切れてしまうこともありえましたが、性同一性障害への理解が進んだ現在では、カミングアウトをした人がサポートしてくれる場合もあります。

このように、以前は絶対に人様には話せない、バレないように生きなくてはならない、親や家族と縁を切らなくてはならないと考えられていた性同一性障害もだいぶ市民権を得ています。もちろん時にはつらい目にあうことや、全員が理解してくれるわけではありません。しかし、それに負けていては、女性として生きることは難しいでしょう。権利はたたかって勝ち取るものなのです!! フェミニズムや人権闘争を思い出してください。

次からは、具体的にどうすればいいか、アイデアを紹介します。

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学校生活

性同一性障害を抱える子どもたちが闘わなくてはならないのは、クラスメートからの偏見やいじめだけではありません。性同一性障害に理解のない学校や先生によって苦しめられるケースも多くありました。例えば、制服や髪の長さなどの校則を守らないという理由で指導されるというケースや、中には先生が差別を助長しかねない発言をする場合もあります。(そうした場合は、人権侵害として校長や教育委員会に訴えなければなりません)

2015年4月、文部科学省は全国の小中学校と高校に対して、性同一性障害の児童生徒に配慮するよう通知を出しました。その中では、配慮の例として、相談を受けた教員がチームを組んでサポートに当たること、名簿の氏名を希望する名称にすること、自認する性別の制服の着用を認めること、トイレや更衣室の使用で配慮することなどがあげられています。

これによって、小中学校や高校での、性同一性障害を持つ児童生徒への対応は進むのは確実です。学校と相談する際は、この通知に言及してみてください。下記のURLから閲覧できます。

性同一性障害に係る児童生徒に対するきめ細かな対応の実施等について

就職

性同一性障害の当事者が就職する場合以下の2つのケースが考えられます。

  1. 就職する前に性別変更をすませて、新しい性別として就職活動をする
  2. 就職した後に性別を変更する

1のメリットは、入社後に自分の元の性別を知る人がいないということです。

デメリットは、就職前に性転換手術をしなくてはならず、治療費の確保が難しいということです。

2のメリットは、治療の状況にもよりますが、就職しやすいということです。

デメリットは、職種によっては働き続けるのが難しかったり、周囲の理解が欠かせないということです。

いろいろな就職のあり方があると思いますが、性同一性障害に理解のある企業も増えています。

最初から無理と決め付けず、挑戦してみましょう。

 

地域のハローワークなどで相談しみるのもいいでしょう。

セクシャルマイノリティの就労を支援するNPOなどもありますので、相談してみてください。

 

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