こんばんは。桜の花がきれいですね!! 年度が替わって、新生活が始まった方もいらっしゃるのではないでしょうか。いかがお過ごしでしょうか。。
さて、今回は女性ホルモンをたくさんの飲んでも、効果が上がらないというお話です。
当サイトもだいぶ成長してきたようで、メールなどで、女性化に関する質問をいただくことも増えてきました。いつもありがとうございます。そういった中、結構多いのが「女性ホルモンはどのくらい飲めばいいでしょうか。」とか「私は○○を何錠、☆☆を何錠、~~も飲んでいますが、これで大丈夫ですか?」といった質問です。
はっきり言って、私にもわかりません(;・∀・)
女性ホルモンの最適な量は、人によって違う!
女性ホルモンをどのくらい服用すればいいかは、その人の女性ホルモンに対する感受性や、睾丸を摘出している・していない、もともとの男性ホルモンの量などさまざまな要素で変わってきます。
ある人は、プレマリン0.625mgをそれこそ1日4錠飲んだだけでも女性化が進むかもしれませんし、別の人はエチニルエストラジオールを0.5mg(リノラルだったら10錠・・・鬼のような量です!マネしないでください。)飲んでも女性化に時間がかかるかもしれません。。
女性ホルモン(エストロゲン)に対する感受性
女性ホルモンに対する感受性が強い人は、少量の女性ホルモンでも女性化しますが、中には多くの女性ホルモンが必要となるひともいるでしょう。また、睾丸(精巣・タ○タマ)を摘出している人や性転換手術(通常睾丸も同時に摘出します)が完了している人は、男性ホルモンの生成が少ないので、その分女性ホルモンは少なくてもいいでしょう。
女性ホルモンに対する感受性は、ある程度は生まれながらにきまっているようです。純女(生まれながらの女性)は、元男性に比べてエストロゲンの受容体が多いといわれます。
男性の体で生まれてきたMTFが、女性ホルモンを接種してもなかなかバストアップが期待できないという話は聞いたことがあるでしょう。エストロゲン受容体の数や感受性も理由の一つとも考えられます。
副作用のでかたや、重さも人によって異なります
女性ホルモンの副作用としては、次のようなものがあげられます。お薬の種類によっても多少違いはありますので、服用の際は処方してくださった医師や薬剤師さんに確認したり、添付文章を確認したりしてくださいね。
- 頭痛、めまい
- のぼせ
- 吐き気、嘔吐、食欲不振
- 体のだるさ
- 血栓症(血栓性静脈炎、肺塞栓、脳卒中、冠動脈性心疾患など)
- 乳がんなどエストロゲン依存性腫瘍(がん)の悪化・発現
- 肝機能障害
- 精神障害の再発
- 耐糖性が低下する(糖尿病の人は要注意)
- (生理不順・不正出血)[純女の場合]
- (子宮筋腫・支給内膜症などの悪化)[純女の場合]
私はこれを書きながら、怖くなりました。女性ホルモンの服用には、リスクが伴います。
頭痛とかめまいなどは一般のお薬の副作用としても一般的ですよね。注意しなくてはならないのは、血栓症と肝臓への負担が増えること、そして乳がんです。
血栓症は命にかかわります
血栓症とは、血液が固まって、血管が詰まってしまうことです。エストロゲンは血小板の凝固性を高めるので、血が固まりやすくなります。血栓ができた場所によっては、命にかかわるので、注意が必要です。
- 太ももやふくらはぎに激しい痛みや浮腫が出る
- 突然の呼吸困難や息切れ、胸が痛い、
- 激しいめまいや意識障害、急に視野が狭まる
などの症状がでたら、重度の血栓症が疑われますので、女性ホルモンの服用を中止して、症状が重ければ救急外来を受診してください。病院を受診する際は、女性ホルモン(エストロゲン)を服用している旨を必ず伝えてください。何をどのくらい使っているのか、正直に話しましょう。
そのまま女性ホルモンの服用を続けたり、症状が重いのに放置すると、最悪の場合死にます!!
家族や親せきに乳がんの患者がいる場合には注意
もう一つ気を付けなくてはいけないのは、女性ホルモンを服用することで乳がんの危険性が高まるということです。特に家族に乳がんの既往がある場合は注意が必要です。あなたもなる確率が高いです。すでに乳がんができかけている場合は、がんが増長します。
そのため、ガイドラインに従った性同一性障害(MTF)の治療では、ホルモン治療の開始前に乳がんの検査をすることが多いです。その後も定期的に、乳がんを検査します。ガイドラインにのらず、自己判断で女性化を進める場合も、乳がんの検診を定期的に受けたほうがいいです。
年齢や喫煙などで副作用が重くなります
一般的に年齢が高いほど、女性ホルモンを服用することによるリスクは高まります。したがって、年齢が高めの方は、しっかりと血液検査をしたほうがいいです。そのうえで、過剰な女性ホルモンの服用はやめておきましょう。
また、喫煙は血栓症のリスクを高めます。喫煙者にはきついですが、女性になるためと、身体をこわさないためです。。たばこはやめておきましょう。
他人の量をマネしないほうがいい! かわいい人はいっぱい飲んでいるけど…
以上のように、副作用の出方も人によって異なりますので、インターネット上で他人が公開しているホルモンの量をうのみにするのは危険です。
インターネット上でMTFやニューハーフの方のブログを見ていると、よく私はこれだけ女性ホルモンを飲んでいますといった記事を見かけます。その方のプロフィール写真がかわいかったりすると、「自分もこれだけ飲んだらかわいくなれるかも」と思ってしまいます。
しかし、待ってください!!
その人が女性化するのにその量が必要だっただけです。また、重い副作用がでていないのも、その人の健康状態がよかっただけかもしれません。マネをして、あなたが大丈夫な保証はありません。。。
特に、エチニルエストラジオール(リノラル・プロセキソール)などを10錠とか、プレマリン1.25を8錠とか書いてあるのブログがありますが、そんなに服用すると頭の働きが鈍ってしまったり、精神状態が不安定になること(俗にいうホルボケの状態です)は確実ですし、下手をすると死にいたります。
たくさん飲んでも、効果は量に比例して増えるわけではない
女性ホルモンは少なすぎても効果が期待できませんが、たくさん飲んだからと言ってたくさん効くことはありません。そればかりか、副作用の危険が高まりますので、適量を使用してください。
余分に摂取した女性ホルモンは、尿に排出されてしまいます。
ではどのくらい使えばいいのでしょうか?
一応目安があります。海外の論文を参考に、女性ホルモンの量をまとめた記事がありますので、参考にしてくださいね。
この記事に書いてある量も、あくまで一例であり、人によっては多すぎるかもしれませんし、少ないかもしれません。「確実」と薬事法(現・薬機法)にひっかりそうな文言がタイトルに入っていますが、あくまでも海外の論文に示されていた分量です。
女性ホルモンを始める際は、少量から初めてください。。そのうえで、効果がなかなか出ないからと、すぐに量を増やすのではなく、最低でも数週間から数か月様子をみて、それでも足りないようなら、少しずつ増やして行くようにしてください。
女性ホルモンを服用するのは危険が伴いますので、できれば信頼できる医師に相談のうえ服用してください。自己判断で服用する際は、完全に自己責任になります。
急激な変化を求めるあまり、身体を壊してしまっては、女性化どころではありませんよ。
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